1. >
  2. >
  3. 朝食は大切!

食育において、朝食の大切さが重視されている理由はご存知でしょうか。
それは、朝食が体温を上げ、一日の身体リズムが整うことで、活動的に慣れるからです。
子どもたちの健康状態だけではなく、学力や運動能力に大きなメリットをもたらします。
今回は朝食の大切さについて解説するとともに、朝食にとりたい栄養や役立つ方法についてご紹介します。

朝食は一日の大事なスイッチ

朝食は睡眠中低下した体温を上昇させ、1日の始まりに脳や身体機能をウォーミングアップさせる効果があります。
朝食に炭水化物とタンパク質などを摂取することで、体は体温を上げようとしたり、体内のリズムを整えてくれます。
また、朝食をとることで排便のリズムが整い、肥満予防につながります。

朝食を食べることで体のリズムも整えられる

人間の体には体内時計があります。一日単位で睡眠や体温、血圧、ホルモン分泌などの変化を司る大切な機能です。
健康に過ごすために欠かせない体内時計は、光と関係があり、太陽が昇っている間は活動的になり、沈むと休みなさいと働きかけてくれます。
これを体内リズムといいます。
体内リズムが生活リズムとズレると、体にはとてつもないストレスです。
ズレによって体と心のバランスが保てなくなり、感情が不安定になってしまうことも。
体内リズムと生活リズムのズレをなくすには、朝食を食べることが大切です。
体と心にとって快適なリズムを子どものうちに覚えさせるために毎朝しっかり食べる癖をつけましょう。

朝食を抜くとどうなる

脳は夜中も活動し続けるため、朝にはエネルギー不足の状態です。
朝食を抜くと、エネルギー代謝が低い状態で午前中を過ごすことになり、脳や体を動かすエネルギーが不足してしまいます。
朝食のご飯やパンには脳のエネルギー源になるブドウ糖が含まれています。
脳のエネルギー源のブドウ糖を朝食で補給し、脳と体をしっかり目覚めさせましょう。

朝食のとるべき栄養素

どうして朝食が大切なのか触れましたが、とにかく口に入れればいいわけではありません。
朝食がご飯やパンだけだと力が発揮できないため、朝食に必要な栄養素を紹介しましょう。

炭水化物

炭水化物は1日をスタートさせる活力源です。朝食には必ずご飯やパンなどの炭水化物を摂りましょう。
炭水化物は脳のエネルギーとなるブドウ糖になるので、脳が活性化し、体も目覚めてくれます。

タンパク質

子どもの朝食には、肉や魚、卵などのタンパク質が不足しがちです。
「朝からお肉はちょっと…」と思うかもしれませんが、タンパク質は1日3回バランスよく摂りましょう。
タンパク質が豊富な食材はトリプトファンというアミノ酸を含みます。トリプトファンは精神を安定させる神経伝達物質セロトニンの材料です。
セロトニンが不足すると気持ちが塞ぎがちになり、何をするにも億劫になってしまいます。
トリプトファンを摂取してからセロトニンが合成されるまで時間がかかるため、朝もタンパク質を摂りたいところです。

ビタミン

体の調子を整えるのになくてはならない栄養素です。
特にビタミンB群が重要で、ビタミンB群が不足すると、炭水化物やタンパク質を摂取しても、体内でスムーズにエネルギーが作れなくなります。
また、虫歯や皮膚炎といったデメリットもあるので、必ずビタミンも摂るようにしましょう。

ミネラル

カルシウム、リン、カリウムなどのミネラルも、体の臓器や組織をスムーズに働かせるために必要です。
ミネラルは体内で作れないため、食べ物から摂取しなければなりません。
ミネラルが不足すると、骨の発達が悪くなり、免疫力が落ち、貧血といった症状が現れます。
ただし、摂りすぎても体に良くないため、バランスよく摂ることが求められます。

朝食におすすめの食材

朝食におすすめの食材をご紹介します。

良質なタンパク質が含まれており、長時間内エネルギーを放出してくれます。
また、腹持ちがよく満足感も得られるため、間食防止に役立つでしょう。

ナッツ類

ナッツは良質な脂質である「不飽和脂肪酸」が豊富です。不飽和脂肪酸は血中の悪玉コレステロールを減らしたり、中性脂肪を下げたりする作用があります。
また、よく噛んで食べることで満腹感がますので、食べ過ぎ対策にも役立ちます。

サーモン

サーモンには良質なタンパク質のほか、血流を促す「DHA」や「EPA」が豊富です。魚に含まれるDHAやEPAは、朝に摂ることで血中濃度が高まりやすいことが明らかになっています。
また、サーモンに含まれる色素成分であるアスタキサンチンは活性酸素を除去する作用があり、LDLコレステロールの酸化を抑える作用も期待できます。

ほうれん草

ほうれん草には貧血対策となる鉄を多く含んでいます。スムージーにしたり卵料理と組み合わせると食べやすくなるでしょう。
糖質の代謝に関わるビタミンB1も豊富です。ご飯やパンなど、糖質が豊富な食品と組み合わせるとよいでしょう。

果物

ビタミンやミネラル、食物繊維など1日に必要な栄養素を含む果物。
特にブドウ糖などのエネルギー源を多く含むバナナ、果物の中でもずば抜けた栄養素バランスを誇るリンゴがおすすめ。
すぐに食べられるので忙しい朝にピッタリです。
タンパク質を含むヨーグルトなどの乳製品と一緒にとると腹持ちがよくなります。

朝ごはん、パンとご飯どっちがいい?

惣菜パンにスイーツさながらのパン、フランスパンのようなハード系など、さまざまなタイプのパンがあります。
ご飯よりもパンが好きという子どもも多いですよね。
一方で、ご飯はパンに比べて水分量が多く、少量でも重さがあるのでお腹にたまるので腹持ちがよいというメリットがあります。
子どもの食育にはどちらがいいでしょうか。
朝食を食べるのであればどちらでもいいのですが、おすすめはご飯です。
パンは小麦粉から作られる加工食のため、作る際に塩分、糖分、添加物、油など入ります。ご飯にはそれらが含まれていません。
また、ご飯は飲み込むために何度も噛む必要があります。よく噛むことで顎が育ち、将来の歯並びやお口の環境にもよい影響を与えてくれます。
パンを食べるなら食パンを選ぶといいでしょう。菓子パンや総菜パンは食べやすいように食パン以上のバターが作られているため、シンプルな食パンがおすすめです。
近年増えてきた、米を砕いて粉にした米粉パンでもいいでしょう。

朝食を食べる習慣を身につけるためのポイントとは

今まで朝食を食べていなかった場合、その習慣を変えるのはなかなか難しいことです。朝食を食べる生活に切り替えるためのポイントについて解説します。

夕食は軽く済ませる

夕食を食べる時間が遅い場合、軽めに済ませてできるだけ早く寝るようにしましょう。
夕食の食べ過ぎは肥満につながるだけではなく、食べたものを消化するために睡眠中も体が起きているため、質の良い睡眠を取ることができません。
また、寝る前にお腹いっぱい食べると朝起きてもお腹が空かず、朝食を食べる気になりにくくなります。
夕食を軽く済ませることで、朝起きた時に適度な空腹を感じられるようになります。
子どもの場合、夕食は午後6時までにともいわれていますが、現実的ではありません。それでも、できるだけ早く食事を済ませれば、翌朝には消化も終わっているはずです。
可能であれば7時には食べ終え、間食はせず、遅くても10時までには寝るようにすると、早起きでき朝食も食べやすくなるでしょう。

早起きする

起きてすぐだと、なかなか朝食を食べる気になりません。早めに起きて少し活動してから食卓に向かうことで、体も目覚めて朝食をおいしくいただけるでしょう。

朝食を無理なく食べるためのステップ

食欲がないという場合、口当たりがよく簡単に食べられる牛乳や果物、野菜ジュースから始めてみましょう。
次に手軽に用意できるステップに。時間があればジャンプに挑戦!

ホップ!

食欲がなければ牛乳や野菜ジュース、バナナなどの果物から。
20~30分早く起きて、少しでも食べることから始めましょう。

ステップ!

おにぎりや目玉焼きなど手軽に食べやすいバランスよく2種類以上を組み合わせてみましょう。

ジャンプ!

主食、主菜、副菜を揃えて、バランスの良い朝食を食べましょう。
果物、乳製品も朝食で取り入れるとより良くなります。

朝食を食べる習慣があると幸せを感じやすくなる?

古いデータですが2010年に20代から60代のビジネスマン1000人を対象に「幸せ度とライフスタイルに関する調査」がありました。
この調査によると、朝食を食べる習慣のある人は、習慣のない人に比べて、自分が幸せだと感じている割合が高いことがわかりました。
朝食を食べる習慣のある人は、仕事や余暇活動に満足している割合が多く、経済的にも満足しています。
一方、朝食を食べる習慣のない人たちのデータを見ると、経済的な余裕を重視しており、イライラしたり不安な気持ちになることも多いようです。
休日はゴロゴロと横になって過ごし、仕事にも後ろ向きな様子。
朝食の習慣があるから心身ともに健康で、仕事にも家庭にも満足度が高いのか、それとも経済的などの満足度の高い人が朝食の習慣を保ちやすいのか興味深いところです。
これだけの相関関係があるのなら、まずは朝食の習慣を身につけることで、幸福度をたかめるきっかけになるかもしれません。

また、朝食の習慣がある人の、朝食の内容についても調査するとバナナやリンゴなどの果物、サラダやおひたしなどの副菜を摂っている人たちはより幸せ度が高い結果になっています。
色々な料理を組み合わて食べており、栄養バランスのよい朝ごはんを食べることが推察されます。

別の調査ですが、「早寝早起き朝ごはん」運動によると朝食を毎日食べている子どものほうが、国語、算数ともに成績がもっともよく、どちらかというと食べる、あまり食べない、まったく食べないの順に成績が下がっていました。
朝食を食べることで脳にエネルギー源であるブドウ糖が送り込まれるからと考えられます。
脳の発達においても朝食は非常に大切なのです。
子どもの食育の一環として、朝食の大切さに目を向けてみてください。